Q:神と仏は同じなんでしょうか、違うんでしょうか。教えてください。
(あとむさん・Y川氏)
A:「神」も「仏」も多義的ですからねぇ…。特に「神」を定義することは簡単ではありません。
まあ、一番わかりやすいのは「仏」と、ユダヤ教・キリスト教・イスラームで語る「神」。これはまったく別物です。仏教で言う「仏」とは仏陀(ブッダ=目覚めた人)のことですから、「悟りを開いた人間」のことを指します。ユダヤ・キリスト教・イスラームの神は万物の創造主であり、唯一無二で絶対なる存在です。人間が神と成ることはありえません。このあたりは、「未収録記事」にも載っています。
しかし、このような絶対なる唯一神という概念は教義や哲学によって練り上げられて完成しているという側面があります。つまり実際に大衆の信仰現場では、たとえ一神教と呼ばれる宗教においてさえ「神」はもっと信仰対象全般を指すことも多いのです。
また「仏」にしても、大乗仏教で語られる仏さま方(大日如来や阿弥陀仏など)は、ある意味教えをシンボライズした超越的存在です。あるいは、ヒンドゥー教なら仏陀も神の化身となっています。
私たちを含めた多くの日本人が「お願い、神さま仏さま」と言っているのも、祈りや願かけなどの宗教的行為の対象となるすべてのものを含んでいます。このレベルでは神と仏を区別することはあまり意味をもたないことになってしまうかもしれません。
ねっ、簡単に説明しにくいでしょ。
ついでに言いますと、日本では、神道や土俗のカミも、仏教の天部も、キリスト教のGodも、みんな「神」と呼んでいるのでよけいややこしいのかもしれません。かつて日本ではキリスト教のGodは天主などと訳していました。神という言葉を使いだしたのは結構新しくて、1950年代後半になってからです。やっぱり、「神さま」って言うより、「主よ」なんていう表現のほうが私はぐっとくるけどなぁ。