Q:釈先生は、なぜ浄土真宗を信仰しているのですか?
(T口さん)
A:ううむ、身も蓋もなく言ってしまうと、浄土真宗の寺院に生まれたからです。もし日蓮宗の寺に生まれていたら日蓮宗の僧侶になっていたかもしれませんし、牧師さんの息子に生まれていたらプロテスタントのクリスチャンになっていたかも(ほんとに身も蓋もない…)。「なんだ、そんないい加減なものなのか」とお感じになるかもしれません。宗教とはもっと自分自身の存在をかけて真実の道を選びとるものだ、とお考えの方もおられるでしょう。ごもっともです。志が低くて申し訳ないです。
でも実際には、あらゆる宗教を学び体験した上で自分の納得できたものを選ぶ、ということは不可能です。なにしろどの宗教・宗派の道をたどっても、一生かかりますから。私は、自分にご縁のあった宗教・宗派を「良いご縁」と喜んで、そのご縁をたぐって道を歩めばよいのではないかと思っています。だから私自身は浄土真宗の道を歩こうと決めています。そもそもいろんな宗教や宗派を理解するにも、自分自身のきちんとした軸なしでは困難なんですよね(他宗教や他宗派との対話についてはまた別の機会に…)。
また、いくら強いご縁があったとしても、まったく自分が納得できないものであったなら、やはり離れたことでしょう。いまだに浄土真宗とのご縁を喜べていることは幸せなことかもしれません。なにしろ私の場合は、そもそもが宗教性に乏しいヤツですから(これまたお恥ずかしい…)。たまたまお寺に生まれたので、宗教についていろいろ考えるようになったんですが、もしそうじゃなかったら宗教をバカにするようなイヤなタイプですね、きっと。だからこそ仏様は私をお寺に生まれさせたんじゃないかな、と思っています。