Q:仏教について不勉強すぎて、怖くてお寺に行けません。
どうしたらいいんでしょうか。
(R(25)さん)
A:禅のお話で、「お茶で満たされているお茶碗に、さらにお茶を注いでもあふれてしまう」というのがあります。生半可な仏教の知識で頭を満杯にするよりは、かえって心を空っぽにしてお寺を訪れたほうが良い場合だってあるということです。ですから、不勉強のままお寺に行ったら怒られる、なんてことはありません。どうぞお気軽にご利用ください。お寺というのは、死んだときだけ利用すると高くつきますが、普段から利用しておけば割安です(笑)。ぜひ住職さんやお寺の奥さんなどと仲良くなって、いろんなお話をしてみてください。たいていのお坊さんはお話好きで、誰か仏教の話を聞いてくれる人はいないかとウズウズしていますから、喜んで仏法を伝えてくれることでしょう。
でも「お寺が怖くて入りにくい」という印象はあるでしょうねぇ。特に都市部では、あまり「地元のお寺」や「お寺とのなじみ」などはありませんから。近年、東京で青松寺という曹洞宗のお寺で「仏教ルネッサンス塾」というこれまでの仏教の枠にとらわれない集まりが開催されていて、若い世代を中心になかなかの賑わいだそうです。塾長は東京工大の上田紀行先生で、この方は『がんばれ仏教!』(日本放送出版協会)という本の中で、「ほんとは、仏教って、お寺って、すごいおもしろいはずだぜー。」と、仏教界への熱烈エールを送ってくださっています。
青松寺さんみたいに檀家でなくても参加できる法座や仏教講座を開いているお寺もけっこうありますし、もし一般寺院に入っていきにくいなら(確かに何の縁もないのに入っていきにくいかも…)本山や別院といった各宗派を代表するようなお寺を利用するのも良いかもしれません。そこでは誰もが参加できる開かれた場や機会が設けられていますから。西本願寺でも、関連施設などで常にさまざまな仏縁のお座が催されています。参加に際して、必要なものは特にありません(お念珠くらいは持って行きましょうね)。聞こうとする真摯な姿勢があれば、それで充分です。講演会やカルチャーセンターなどで仏教のお話を聞く場合とはまた違った趣があると思います。