質問・64 求む良縁
Q:
初めまして。
このような事を書いてよろしいのでしょうか? と躊躇しつつ、質問といいますより、ご相談といったほうがよろしいようなことでmailいたします。
浄土真宗の寺に生まれ、親戚など周りにも寺院が多いという環境で育ちました。その親戚の寺院には、子どもが女子3人ありまして、寺院を継ぐ長女は、すでに28才になろうとしています。しかしながら、寺院にきていただく婿養子がなく親戚中が困り果てています。
長女である本人は、小学校の教員をしています。この辺り(滋賀県)は、寺院だけでは生計が成り立たない小寺が多く、本山にお勤めの若い方も敬遠します。(本山勤めで婿になってもいいというのは、寺のお仕事だけで楽に暮らせるならいい、という僧侶の思いがあるようです。)在所(寺院ではない一般のおうち)の方でも、次男の方であれば、ご縁が欲しいところです。
この1年のうちにお見合いのお話をいただいて、何とか将来につなげたいと考えています。良い方法があればご教示くださいませ。ちなみに、我が家にも嫁入り前の娘が2人おりましたが、お寺へ嫁いでもいいといいながら、残念なことにそういうご縁がなく、普通の人と恋愛をして結婚しました。
親としては寺へ嫁がせたかったのですが、思うようには参りませんね。
A:
当山持仏堂では、どのようなご質問・相談も<ご縁>と喜び、応答させていただく所存ですので、「このような事を書いてよろしいのでしょうか?」という危惧は無用です。
といっても、お申し込み多数の場合は取捨選択させていただく場合もあります。さらにはまた、「応答させていただく」ことと、「解決する」ということとは別次元でして…。今回のご質問にも、有効で具体的な解決法を提示できるそうにもないのですが…。
現在、内田樹先生と「佐分利信プロジェクト」を運営しております。昔ながらの「縁談のお世話をするおじさんやおばさん」が絶滅寸前な状況を憂い、今年立ち上げたプロジェクトです。プロジェクト名は、影の黒幕を演じさせたらこの人の右に出る者はいなかった佐分利信が、小津映画の中で「まあ、後は若い人たちにまかせて、我々はこのへんで失礼するとしますか」といった風情を醸してしたことに由来しています。
もし、SSプロジェクト(佐分利信プロジェクトの略)に「お寺に婿入りしたい」という希望が舞い込めば、一報を入れさせていただきます。
さて、そもそも「いい人がいれば結婚したいけど、何が何でも結婚しなければならないとは思わない」という人が多い現状では、<お見合い結婚>自体なかなか成立しません。このような現状を劇的に変える「良い方法」は今のところ思い浮かびませんが、とにかく地道に人と人とが交錯する機会を増やさねばなりません(なりません、ってのもヘンなのですが)。つまり、基本的には、ひとりひとりが、自らの人的ネットワークを賦活させることが大切なんだろうと予想されます。
というわけで、ぜひ、まずはご自身が「おせっかいな人」と化していただき、自らの人的資源を活用して、縁結び役を開始してください。さすれば、つながりがつながりを呼び、ついには、まわりまわって良いご縁が生じるに違いありません。なにしろ、日本のお寺の数は、コンビニの倍近くあるんですから。
かつて、お寺はいろんな縁談のお世話をしていたました。子どもの頃、ウチのお寺にも、棚にたくさん<釣書>なるものがあったのを覚えております。せっかく日本中にお寺があるんですから、教団や宗派を超えて<お寺ネットワーク>が起動すれば、婿のひとりやふたりは…。ははは。
最後に情報をひとつ。本願寺教団では、「寺院活動の推進」の一環として、寺院後継者問題への取り組みとして、「NET縁(えにし)」を発足させたそうです。「入寺・結婚」に関するネットワークだそうです。どのくらい機能するのかは未知数ですが、ご相談にはぴったりですね。受付・問い合わせが、近々発表されるそうですよ。楽しみですねぇ。